2016年04月06日

電気通信事業法の改正に関して

「電気通信事業法等の一部を改正する法律(平成27年法律第26号)」が,来月5月21日に施行されるのを受け,せっかくまとめたので,とりあえず公開。

現時点での法(省令)改正のまとめ(○が法改正,→が省令等による改正)

○説明義務の充実(具体化・指定)
→適合性原則(属性・利用目的に応じた説明),自動更新の事前通知
○書面の交付
 →種類,料金の内訳,支払い時期・方法,解約条件,通信制限(フィルタリング),端末等の契約を条件とした複雑な料金割引については仕組みを図で示す,有料オプションの名称・料金・解約条件等の記載
○初期契約解除制度(書面の受領後8日間で解除可能)
→対象サービス(「確認措置」 を受けないプリペイド型を除く移動通信サービス(携帯電話,無線),光ファイバー回線,(IS)プロバイダー契約)等を規定,解除の際の支払金額の上限設定
○不実告知・勧誘継続行為の禁止等
 →契約上の軽微な変更を求める行為等を勧誘継続禁止の例外として規定
○代理店に対する指導等の措置
→選定,確認・検証,苦情の処理,委託の中止・契約解除等の措置義務付け



注意点としては,
ISP(インターネットプロバイダー)との契約は初期契約解除制度があるが,光回線でないADSLなどの回線契約は当該制度の適用はない
初期契約解除制度は,クーリングオフとは異なり,利用した分の費用の負担などはある
通信契約とスマートフォンの購入契約は別途で,前者を解約した場合には,後者の契約の毎月の割引(キャッシュバック)の取り消されるケースが多い。ガイドライン案では,そのような取り消しや違約金,通信契約を解除しても端末の割賦払いが継続することを説明するように定めている。
posted by まんさく at 16:29| 東京 ☀| 法律豆知識 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年08月20日

遺産分割や共有物分割での経済的利益とは

ベネッセの件は,淡々と進んでいます。
また,次回期日が来週にあるので,その時にご報告いたします。


さて,たまにはベネッセ関連以外のお話。弁護士報酬のお話です。
とある事件で裁判官から疑問を呈され,
いろいろ調べたのですが,インターネット上ではあまり書かれておらず,
書籍でやっと納得する解が出たので,ご紹介します。


そもそも,紛争解決型の弁護士の費用(支払う報酬)は,
着手金・成功報酬制と時間制(タイムチャージ)に大きく分けられると思います。

タイムチャージは,1時間いくらで,(何人×)何時間かかったかで費用が決まります。

着手金・成功報酬型は,事件の「経済的利益」の○%とかで決まっています。
(参照:http://kasai-law.com/cost/index.html

それで,この「経済的利益」というのは,損害賠償などだとわかりやすくて,
・損害賠償請求する場合
何円請求するか(着手金計算時),何円勝ったか・受け取ったか(成功報酬計算時)
・損害賠償請求を受けた場合
何円請求されたか(着手金計算時),相手の請求から何円減額したか(成功報酬計算時)
で,決まります。

ここで,問題なのは,持分・相続分(相続割合)に争いのない共有物分割・遺産分割のときです。

例えば,全部で1000万円の不動産や遺産があって,2分の1ずつの割合で持っていることは,互いに争いがない。
これを,どう分けるかについて,弁護士に依頼し,無事に分けて,2分の1を現金などで得られたとして,
「経済的利益」はいくらなのか,という問題です。

第二東京弁護士会の旧報酬規定やうちの事務所や多くの法律事務所の弁護士報酬基準でも,
経済的利益を「対象となる持分(相続分)の時価の3分の1の額」と定め,着手金及び成功報酬の算定基準としています。

これは何故でしょうか。
互いに持分を認めているのだから,それを分けて受け取っただけだから,経済的利益は0ではないのか,という疑問が当然ありえます。

しかし!
持分に争いのない共有物分割請求事件(遺産分割請求事件)において,
訴訟手続き等で確定されるもの(得られるもの),すなわち経済的利益は持分ではなく,
持分の具体化なのです。
当然確定前でも依頼者は持分を有していますが,これは使い勝手が悪く,
それを具体化するのが,分割請求事件なのです。

具体化(分割)された場合の経済的利益として,
共有から単独所有になるので,実際に使用権を得るということで,占有保持の訴えとパラレルに考え,
(占有権も所有権とは別に使用する権利)
3分の1の額としているのです。

したがって,依頼者が持分を既に有し争いのない共有物分割請求事件においても,
訴訟手続き等により,具体的に持分を確定したときに,
確定した持分の3分の1を経済的利益となるので,
着手金・成功報酬が発生するのです。



参考文献:日本弁護士連合会調査室編著「弁護士報酬規定コンメンタール」(第1版)
posted by まんさく at 17:06| 東京 ☀| 法律豆知識 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年11月21日

相続基礎知識3(特別受益と寄与分)

1.基本

@遺言がある場合には,それに従う(原則は被相続人の意思,例外は遺留分
→寄与分は問題とならず,特別受益は遺留分減殺請求の場合に考慮する。

A遺言がない場合は,法定相続分(民法900条)となる。
※預貯金など(可分債権,✕現金)は当然に相続分で分割され,各相続人に帰属するが,実務的には,相続人全員の同意がない場合,銀行等は訴訟をしないと支払ってくれない(訴訟はすぐ終わる)。

次に問題となるのが特別受益と寄与分。

特別受益と寄与分は,相続財産の総額・内容や相続人との関係などの様々な事情を考慮し,相続人間の公平という観点から,結論を出すので,一般的な基準は難しく,個別具体的に判断するしかない。

相続財産についての争いは,任意の話合いでまとまらなければ,家庭裁判所で遺産分割調停→審判という流れ。


2.特別受益とは

相続人が被相続人から死んだ時や生前に結婚・養子縁組などで特別にもらった財産や,生活の資本として特別にもらった財産のこと
日常的な些細な贈与は含まれず,特別にもらった財産であるが,財産の総額,贈与された物の種類・価格,贈与の目的・趣旨など総合的に判断する。


特別受益は,相続財産とみなして,その価額(価値)を相続財産に加える
(民法903条1項)

もらった物をそのまま戻すのではなく,相続開始時(通説)の価値(金額)だけを持ち戻す。

もらった財産が,相続分と同じか超えていたら,相続しない。
(民法903条2項)
  
超えていても,返却する必要はなく,相続分が0になるだけ。
ただし,被相続人が,生前の贈与や遺贈も相続分に加えないとか,さらに相続させたいなどの意思を示したらそちらが優先。(遺留分の場合は別。)
(民法903条3項)

明示的でなく黙示的であれば,それを裏付ける事情が必要。

もらった財産を,失くしたり,使用で価値が増減しても,相続開始の時に,もらったときのままの価値とみなす。
(民法904条)

【生命保険や遺族年金】
特定の相続人が受取人となっている死亡保険金(最高裁判例あり)や遺族年金は,特別受益とならないのが原則。ただし,あまりにも高額であったり,相続財産の大半を占めたりするものは,事案によって遺産分割の公平の観点から,特別受益に準じて取り扱うこともある。


3.寄与分とは

相続人が,相続開始前に,被相続人の仕事を手伝ったり,被相続人の介護などをして,被相続人の財産を増やしたり,減らないように維持するなど,特別に貢献した割合

通常の夫婦間,親子間,親族間でなされる協力の程度を,超えていなければならず,かつ遺産の増加又は維持に貢献しなければならない。

寄与分は,法定相続から除き,寄与した人に寄与分を加えて相続分とする。寄与分は相続人の協議で決める
(民法904条の2 1項)

  相続人の協議がうまくいかなければ,遺産分割協議(又は相続の開始後認知された者の価額の支払い)の審判の場合に,相続人の請求で家庭裁判所が決める。
(民法904条の2 2項・4項)
 
請求(申立)がないと,寄与分を裁判所は判断できない。寄与分だけの申立はできない。
  寄与分は相続開始時の財産から,遺贈の額を引いた残額を超えることはできない。
(民法904条の2 3項)。
   
相続財産以上の貢献をしていても,超えた分については,寄与分としては請求できない。民法上の不当利得などでは請求の余地はある。


【家事・家業従事・療養看護の寄与】
 
なかなか認定が難しい。ほとんどが,1,2割程度。
特に療養介護は,通常の親族間でも協力があるため,低額,調整程度。

 基本的な考え方は,
   日当・介護報酬基準を基礎とした相当額×日数×裁量的割合
で計算される。


☆具体例☆
・被相続人(亡くなった人)Aさん

・Aさんの妻Bさん,Aさんの子,Cさん(男)・D(女)

・遺書はない(法定相続分,B:1/2,C:1/4,D:1/4)。

・遺産総額は現金1500万円(後述のCさんがもらった500万円は除く)。

・Bさんは寝たきりになったAさんを献身的に介護などした。

・Cさんは,サラリーマンであるが,Aさんのために休みの日はAさんの自営業の仕事を手伝っていて,Aさんから「私が死んだら,店の資金の500万円はお前がもらいなさい」と言われて,既にもらった。

・Dさんは,一昨年結婚したときに,Aさんから1800万円の家をもらった。家は,相続開始時には,1200万円に値下がりしていた。


まず,Cさんのもらった500万円やDさんのもらった家は相続財産とみなすが(これが特別受益),家を相続財産に入れるのではなく,家は相続開始時には1200万円の価値しかないので,500万円と1200万円を遺産総額1500万円に足す

1500+500+1200=3200(万円)

次に,Bさんの行ったAさんの介護や,Cさんの行ったAさんの家業の手伝いが特別の寄与にあたり,寄与分となる。
仮に,それぞれ100万円,300万円とすると,3200万円から,それぞれを引く(※)

3200−100−300=2800(万円)

これを法定相続分でわけると
          特別受益 寄与分
A:2800×2分の1     +100= 1500(万円)
B:2800×4分の1− 500+300=  500(万円)
C:2800×4分の1−1200    = −500(万円)

そうするとCさんはマイナスになるので,相続分はなし(返却もしなくて良い)
AさんとBさんは1500:500=3:1で分割する。

よって,遺産の1500万円は
A:1125万円
B: 375万円(+金庫の500万円)
C:  0   (家そのまま) 
            でわける。


※寄与分の算定

単なる介護では寄与分の主張は難しい,長期間,寝たきり状態を献身的に介護して,初めて1割程度の寄与分が認められる
家業の手伝いも,無償(又は低額)で長期間行い,財産を増やしたり維持したりといえるほどに,貢献しなければならない。
posted by まんさく at 16:15| 東京 ☀| 法律豆知識 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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